[要約]行動経済学が最強の学問である〜ビジネスマン・消費者として知っておきたいこと

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今回ご紹介する本は相良奈美香が書かれた”行動経済学が最強の学問である”です。

日本人としては数少ない「行動経済学」博士課程取得者であり、行動経済学コンサルティング会社代表として海外でご活躍されている相良奈美香さんが、「行動経済学」とはどういう学問なのか、そしてわかりやすく理解できるようまとめられた本です。

行動経済学とはなんだろう?なんか難しそうだっと思いますよね。                      行動経済学は、比較的にまだ若い学問であり体系化もできておらず、体系化するのには100年かかるだろうと言われているそうです。

体系化できていないため、どう勉強していいかわからずに、理論を断片的に覚えてくだけで丸暗記していくだけとなってしまい、なかなか本質が掴みにくく、「つまらない」と感じてしまいます。

そんな「行動経済学」について著者の相良奈美香さんがビジネスパーソン向けに”いいとこどり”をして、わかりやすく、まとめられた『行動経済学の入門書』です。

 ※こんな人におすすめ

  • 行動経済学について知りたい人
  • 消費者としてどのような場面で行動経済学が使われているか知りたい人
  • ビジネスパーソンとして行動経済学を活用したい人

行動経済学とは?

行動経済学とは『経済学』『心理学』が融合し、「人間の『非合理的な意思決定のメカニズム』を解明するために生まれた学問。

では、「行動経済学の本質」とは何なのか?                           それが、

「人間の『非合理的な意思決定のメカニズム』を解明する学問」 です。

「行動経済学が最強の学問」より

人は非合理的に行動してしまう生き物です。 夜中に太ると分かっていても甘いものを食べてしまったり、今すぐにやれば済むことを後回しにしたりと頭ではわかっていても行動できなかったり、無意識的に非合理的な行動をとってしまいます。

行動経済学が生まれる前の「経済学」では、常に人は冷静で正しい判断をする前提で構築されているため、非合理的な判断をしてしまう人間とのギャップが生まれてしまい限界がありました。

そこで生まれたのが、人間の『非合理的な意思決定のメカニズム』を解明するために生まれたのが行動経済学です。

そして今、「Apple」「Google」「amazon」「ネットフリックス」などの世界の大企業が「行動経済学」を学んだ人材を求めて、争奪戦をしています。

3つの要因

この本では、人間の非合理的な意思決定をしてしまう要因を大きく3つのカテゴリーに分けることでわかりやすくしています。

先ほども、お伝えしたように「行動経済学」はまだ若い学問です。また合理的な行動をとることを前提とする「経済学」と非合理的なことや、ありのままの行動を前提とする「心理学」とでは水と油のようなもので、なかなか体系化されていません。

この本ではビジネスパーソン向けに「非合理的な意思決定のメカニズム」をとってしま理由を

①認知のクセ ②状況 ③感情

の3つのカテゴリーにわけて考えることで、本質が掴みにくいものから、わかりやすく「いいとこどり」して使える教養としてまとめられています。

それでは1つずつ解説していきます。

要因① 認知のクセ

認知のクセとは、脳にインプットされた情報をどう処理するかです。

脳にインプットとした情報を常にただしく処理することができれば、常に合理的な行動をとることが可能ですが、そうではありません。

頭ではわかっていても「非合理的行動」や無意識的に「非合理的行動」をとってしまっていることがあります。

システム1 VS システム2

認知のクセに代表される理論が「システム1VSシステム2」です。

簡単に説明するとシステム1」は直感的、瞬発的に判断することで「システム2」は注意深く考え、分析し判断することです。

人間は1日に”35000回”もの何かしらの意思決定をしています。その中で「システム1」と「システム2」の試行モードを使い分けています。

しっかり考えれば、正しい判断ができる場面で「システム1」を使ってしまうことで「非合理的な行動」をとってしまうことがあります。

ダイエットしたいのに夜中に甘いものを食べてしまったり、将来のために貯金しておいた方がいいのに貯金を崩して買い物をしたり、車より飛行機事故が起こる可能性が低いのに飛行機事故のニュースを見て、行き先を変更し移動手段を車するなど。

少し考えれば合理的に判断できることですが、「システム1」を使ってしまうことで「非合理的な意思決定」をしてしまいます。                                       

「システム1」が悪いということではありません。

すべての意思決定を「システム2」で行なってしまうと脳が疲れてしまい非合理的な意思決定をしてしまいます。日常の小さな意思決定は「システム1」を使い、大事な時は「システム2」で意思決定すること合理的判断ができます。

システム1を使ってしまいがちな時

「システム1」を使ってしまいがちな時を知っておっくことで、非合理的な意思決定を防ぐこともできます。

人はどんな時にシステム1を使いがちかを明らかにした研究があります。              それをまとめると以下の6つです。

*疲れている時                                        *情報量が多い時・選択肢が多い時                             *時間がない時                                       *モチベーションが低い時                                  *情報が簡単で見慣れすぎているとき                            *気力・意志の力(ウィルパワー)がないとき

第一章 認知のクセ                                                          脳の「認知のクセ」が人の意思決定に影響する                                               人はいつシステム1を使いがちか?より                                                 

確証バイアス→思い込んだら、都合のいい情報ばかり集めてしまう。                     例:A型は〇〇人、B型は〇〇な人   

自制バイアス→自分は誘惑に負けないと思い込む。                              例:ダイエットすると決意するが仕事帰りにお菓子を買って帰る。

埋没コスト→時間やお金をかけたぶん続けてしまうこと。                         例:パチンコで5万円注ぎ込み、回収するために追加で3万円注ぎ込む。

ホットハンド効果→連続して起こると次も起こると思い込むこと。                      例:仕事で連続して成果を出している人に仕事を頼む。

五感も認知のクセになる

身体から脳に情報を伝達される時にも認知のクセが生まれることがあります。

気持ちが落ち込んでいる時でも無理やり笑顔を作っていると自然に楽しい気持ちになったり、温かい飲み物をくれた相手には「温かい人」と感じたりします。

また目から入る情報にも認知の癖が生まれます。企業はブランドのロゴの位置や角度、そのほかモデルの格好などから「高級感」「かっこいい」「優越感」などの印象を与えることで購買意欲を高めています。

時間による認知のクセ

時間も認知のクセを生むことがあります。

人間は近いことは小さなことでも気になりますが、遠い将来のことになるとあまり考えなくなって今います。

これは遠い将来のことだと、あまり想像がつかないので抽象的に感じてしまうからです。反対に近いこととなると現実的になり、しっかり物事を考えます。

例えば今日、1万円もらえるのと1ヶ月後に1万2千円をもらえるのでは、今1万円もらえるのを選びます。そのほかにも遠い未来のための貯蓄や投資なども想像ができないのなかなかできない人が多いのです。

大きな計画を立てる時も認知のクセにより所要時間や予算などを甘く見積もってしまいがちになります。       遠い未来のことなどは抽象的になってしまい「楽観バイアス」も働いてしまうからです。                   そのため計画を立てるときは短期目標やタスクに分けて管理することで時間による認知のクセをなくすことができます。

そのほかにも時間や期間で評価してしまうこともあります。                       仕事などの資料で早く提出すると「手を抜いている」と感じてしまったり、反対に期間ギリギリに提出すると「しっかり考えている」と感じたりしてしまいます。

これは部下を評価するような立場が上の人は注意しなければいけません。                  反対に部下の立場なら内容の説明など付け加えて、資料提出するとよいでしょう。          

要因② 状況

人は天気周りに人がいるか、物の位置、順番」などの状況によって「非合理的な意思決定」をしてしまいます。

状況から影響を受けた意思決定は無意識的に行なっていることが多く、それは面接の順番で一番最初の人と最後の人が受かりやすくなります。これは最初の人は好印象を抱きやすく、最後の人は印象に残りやすいからです。

企業戦略

情報が多すぎると人は選択できなくなってしまいます。これを「情報のオーバーロード」と言います。

人は情報や商品がいっぱいあるこがいいことだと思い、人が集まってきますが多すぎることにより今度は何を選んで良いかわからなくなってしまい「何も買わない」という選択をとってしまいます。     選択肢は10個がベストだそうです。

amazonは大量にある商品の中から、ユーザデータを蓄積しておすすめの商品を表示したり価格や新しい順などを使用することで消費者に選択しやすいようにされています。                 

YouTubeやNetflixも同様に過去の視聴履歴などからおすすめの動画や映画、アニメなどを表示しています。

TikTokでは最初から選択されているという状況にすることで膨大な量の動画から、最初からユーザーが興味のありそうな動画を自動で流しています。

また「おとり効果」を利用して、高い物の横に置くことでお手頃感をだし、手に取りやすくさせています。

そのほかにも色、匂い、音などにも意思決定の影響を受けます。例えば店内のBGMを変更することで商品の売れ行きが変わったり、商品の背景色で売り上げが上がったりします。               

これらは無意識に影響を受けて意思決定しています。

消費者としては非合理的な意思決定をしないようにするには、そもそも見ないようにしたり、本当にその選択に時間をかけるべきか考えることです。

また時間帯でも意思決定に影響されるため、疲れている夜は非合理的な意思決定をしてしまいがちなので、朝の冷静な時間に意思決定することで回避できます。

プライミング効果→気付かないうちに色や音などに影響を受けて意思決定してしまう。                例:商品の色から印象を受けて購入したり、店内BGMによって購入する商品が変化する。

フレーミング効果→何を強調するかで意思決定が変化すること。                        例:「赤み75%のお肉」と「脂質25%のお肉」では内容は一緒だが受ける印象が変わる。

プロスペクト理論→ネガティブかポジティブな伝え方で同じ内容でも意思決定に影響を受けること。      例:100人中「4分の1」は助けられる。 100人中「85人が死んでしまう」                                               

おとり効果→比較対象があることで意思決定に影響を受ける。                       例:高い商品の横に置くことでお手頃感や安さを感じる。

アンカリング効果→最初の数字に影響を受けること。                                 例:最初に高い値段を提示したあとに値下げすることで安く感じる。                

自立性バイアス→やる前提で相手に提示し自分で選択させることで前向きに行動させる。       例:部下に「この書類を今日のお昼までに準備できるかな?」などやる前提で頼む。      

要因③ 感情

感情に意思決定するのは、当たり前のことだと思うが実は「非合理的」なことが多い。

人間の感情は喜びや悲しみなどの大きな感情だけではなく「淡い感情」もあります。            淡い感情とは大好物のハンバーグを見ただけで嬉しくなったり、朝のコーヒーを飲んでホッとしたりなどの小さい感情です。

彼女に振られて悲しい気持ちや仕事で大成功して嬉しい喜んだり、嫌いな上司から嫌味を言われ怒ったりなどの大きな感情よりも「淡い感情」の方が頻繁に起こります。

そして「淡い感情に」よって非合理的な意思決定をしてしまいます。

ポジティブアフェクト

アフェクトとは脳の中にある小さな感情「淡い感情」です。

ポジティブアフェクトは小さな淡い感情は簡単に消えてしまいますが、反対にすぐに生み出すことができます。

コーヒーを飲んでホッとしたり、少し高価なランチをしたり、楽しかった旅行の写真や子供の写真を待ち受けにしたりポジティブアフェクトを日常的に取り入れることで自然と前向きな気分になることができます。

ポジティブな感情は人の判断や周りの人にも影響を与えます。

                                                基本的に、ポジティブな感情は視野や思考の幅を広め、ストレスによる身体と心の不調を整えてくれます。そればかりか、打たれ強くなり、レジリエンス(精神的な回復力)も身についていきます。能力・活力・意欲が高まり人脈や活動の範囲が広がります。

つまり、ポジティブな感情は仕事の効率も上げ心身のストレスを軽減することができるのです。

第三章 感情                                                             その時の「感情」が人の意思決定に影響する                                              「ポジティブな感情」は人の判断にどう影響するか?より

ネガティブアフェクト

ネガティブアフェクトとは脳の中にある小さなマイナスな感情です。

ネカティブな感情は大きな怒りや悲しみ、喜びよりも「淡い小さなネガティブ感情」の方が日常で頻繁に起こり、さまざまな意思決定に影響を与えています。

ネガティブアフェクトは小さすぎて気づきにくいため、放っておくと大きな悩みとなってしまいます。   

まず脳の中にあるネガティブアフェクトを理解し、認めます。そして原因を見つけてあげることだけで、安心することもあります。そして再評価してあげることで有効活用することができます。

仕事でミスをして落ち込んでしまった時などは「いい勉強になった次は大丈夫だ」と再評価することでポジティブアフェクトに切り替えることができます。

良いビジネスパーソンは自分の頭の中を理解し、意図的に有効活用することができるため仕事の業績アップや部下の成長を促進することができます。

まとめ

この本は、行動経済学を体系化し初心者向けに書かれた本です。

行動経済学初心者の私でも内容もわかりやすく、とっても面白かったです。

企業の行動経済学を利用した戦略などを知ることで消費者としても気をつけたいと思いました。

気になる方はぜひ手に取ってみてください。


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